デリーなど北インドへの語学留学はおすすめしない4つの理由|データで見る代替留学先

全般

「インドで英語を学びたい」と考えたとき、多くの人がまず思い浮かべるのはデリーだと思います。首都で、日本からの直行便があり、タージ・マハルにも近い。情報も一番多く出てきます。

ただ、「英語を伸ばす」という目的に限って言えば、北インドは合理的な選択肢になりにくいというのが、現地を見て調査して感じたことです。英語だけであれば、フィリピンなどの設備が整った環境がお勧めです。


外務省の危険情報

2026年7月13日時点の外務省「海外安全ホームページ」では、インドの危険情報はレベル1で十分注意の内容です。レベル1〜4まであります。デリーを含みインド全域ではレベルは低い方です。つまり、「デリーだけが公式に危険地域に指定されている」ということではありません。では問題は何かというと、「国が渡航をどう評価しているか」ではなく、留学生が実際に日々払うことになるコストになります。それを見ていきます。


「命の危険」より「トラブルコスト」が高い

大使館が名指しで注意喚起している場所は、デリーに集中している

在インド日本国大使館は2026年2月19日、ニューデリー鉄道駅の構内・周辺およびインディラ・ガンディー国際空港周辺で、日本人を狙った詐欺が発生しているとして注意喚起を出しています。

手口はこうです。旅行者がホテルへ向かおうとしているところに声をかけ、「そのホテルは閉鎖している」「その地域は危険だ」と言う。そのうえで「政府公認の観光案内所へ案内する」と称して実在しない旅行会社へ連れて行き、パッケージツアーを強引に契約させて高額な代金を請求するというものです。

睡眠薬入りの飲食物で意識を失わせて所持品を奪う手口や、クレジットカードを悪用した宝石詐欺への注意も記載されています。

これは「命の危険」ではありません。ですが、留学生にとっては十分に重い問題です。学校が終わったあとに一人で街を歩けない、電車に乗れない、知らない人と話すのが怖いという状態は、語学留学の目的そのものを壊します。教室の外で英語を使う機会を自ら閉ざすことになるからです。

テロのリスクはゼロではない

2025年11月10日、デリーの赤い砦(レッド・フォート)付近で車両爆発が発生し、15人が死亡、20人以上が負傷しました。インド政府は11月12日にこれをテロ攻撃と認定し、警察は違法行為防止法(UAPA)を適用しています。北インドではテロが発生するリスクがあります。ただ、首都という象徴性ゆえに、こうした事件の標的になりやすいという構造はあります。


大気の数値が、学生生活を直撃する

ここは、感覚論の余地がないほど数字がはっきりしています。

冬のデリーのPMがレベル違いに高い

エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)が2026年3月6日に公表した、2025年10月1日〜2026年2月28日の冬季データを見てください。

都市冬季のPM2.5平均(µg/m³)WHO年間指針値(5µg/m³)との比
ガジアバード(デリー近郊)172約34倍
ノイダ(デリー近郊)166約33倍
デリー163約33倍
ベンガルール39約8倍

同じインドの大都市でも、4倍以上の開きがあります。デリーは同じ冬季期間中に、大気質が「深刻(Severe)」と判定された日が18日、「非常に悪い(Very Poor)」が87日ありました。3か月以上、外に出ることが健康上の負担になる日が続いた計算です。

長期のデータも同じ方向を示している

  • シカゴ大学エネルギー政策研究所(EPIC)の「Air Quality Life Index 2025」(2025年8月28日公表)によると、デリー住民の2023年の年間平均PM2.5は88.4µg/m³で、WHO基準の約17倍。この水準が続いた場合、平均寿命が8.2年短くなると推計されています。

もちろん、数週間〜数か月の留学で寿命が8.2年縮むという話ではありません。ただ、留学期間中に「体調を崩して授業を休む」「咳が止まらない」「走れない」という日が積み上がることの影響は、決して小さくありません。1か月の留学で1週間寝込めば、それは投資額の4分の1が消えたのと同じです。

11月〜1月にデリーへ語学留学するプランを検討している方は、この点だけは必ず確認してください。


格安プランで削られているのは、住環境と安全である場合が多い

インドの語学留学が欧米より安いのは事実で、それ自体は正当な魅力です。ただし、同じ「インド留学」の中でも極端に安いプランが出てきたときは、何が削られているのかを確認する必要があります。

留学費用の構成は、おおよそ「授業料+住居+現地サポート」です。授業料は学校の言い値からそう大きくは動きません。したがって極端に安い価格が成立している場合、削られているのは住居か、サポートか、その両方である可能性が高くなります。

特に住居については以下の違いがあります。

インド デリー

インド バンガロール

フィリピン

インド デリーが一番安価ですが、その部屋に留学として長期間滞在できますか?集中して勉強できますか?写真の通り衛生に問題があります。ほとんどの留学生は我慢して何も言わないのが実情です。勉強に集中できるとは思えません。バンガロールとフィリピンの方が圧倒的に部屋の品質は良いですが費用は高いです。しかし、住居は留学の成功可否を大きく分けます。人生でも大事な留学に数万円 ~ 十数万円の差で失敗するのは勿体無いと考えてます。


「経済大国インドを見たい」なら、短期の北インド滞在では見えません

インドの名目GDPは、IMFの見通しでは2026年に日本を抜いて世界第4位になるとされています。2030年にはドイツを抜いて第3位という予測もあります。「その現場を見てみたい」という動機は、留学の理由としてまっとうです。

ただ、その動機で北インドの観光ルートを選ぶと、おそらく期待とは違うものを見ることになります。

デリー〜アグラ〜ジャイプールという定番の動線は、観光地としてのインドを見る動線であって、産業としてのインドを見る動線ではありません。数週間の滞在で目に入るのは、駅前の客引き、路上の物売り、そして目を背けようのない貧困の光景です。それもインドの一面であり、見る価値がないとは思いません。ですが、それは「経済を動かしているインド」ではありません。

インドの経済の現場に入るには、原則として紹介かネットワークが要ります。企業のオフィスは基本的に部外者が入れる場所ではなく、テック系のカンファレンスもコミュニティ経由の情報がなければ辿り着きにくい。旅行者として街を歩いているだけでは、その層には接触できません。個人で無理に組み立てようとすると、費用も手間も跳ね上がります。

したがって、目的が「北インドを見てみたい」であれば、素直に1週間程度の旅行として行くのが最も効率的です。語学留学という枠に無理に押し込む必要はありません。


目的別の代替案:英語ならフィリピン、キャリアならバンガロール

ここまで「北インドは合わない」という話をしてきたので、では何を選ぶべきかを書きます。判断の分岐点は、英語のスコアが欲しいのか、それとも英語+αの材料が欲しいのかです。

英語の総量を最短で増やしたいなら、フィリピン

同程度の予算で「話す量」を最大化するなら、フィリピンが合理的です。

  • 英語環境の質:EF EPI 2025でフィリピンは123か国中28位、スコア569(High Proficiency)。アジアではマレーシアに次ぐ2位です。
  • 授業形式:マンツーマンが基本で、朝から晩までスケジュールが組まれる学校が多い。1日の発話量が圧倒的に多くなります。
  • 費用感:セブ島留学の場合、航空券・保険・ビザ込みで4週間で約38万円、8週間で約69万円、12週間で約100万円が2026年時点の相場とされています。
  • 距離:日本から約5時間、時差1時間。短期でも往復の負担が小さい。

設備の整った学校が多く、勉強に集中できる環境という点でも優位です。「まず英語力そのものを上げたい」という目的なら、素直にフィリピンを選ぶべきだと思います。

ただし、注意点が一つあります。フィリピン留学は、もはや差別化になりません。日本人にとって完全に一般化した選択肢で、履歴書に「フィリピン留学」と書いても、面接官にとっては珍しい情報ではない。「英語ができる」ことの証明はTOEICやIELTSのスコアで足りるため、留学先そのものが語る材料にはなりにくいのです。

英語も学習してキャリアの材料が欲しいなら、バンガロール

一方、就職活動や転職を見据えて「話す材料」まで持ち帰りたいなら、南インドのベンガルール(バンガロール)が現実的な選択肢になります。

  • 英語環境:EF EPIスコア569は、前述のとおりフィリピンの国全体と同水準。デリーの407とは162ポイント差です。日常生活が英語で回る都市です。
  • 気候:標高約900mの高原都市で、年間を通じて概ね22〜32℃。真夏に体力を削られることがありません。
  • 産業:ベンガルールには**487以上のGCC(グローバル・ケイパビリティ・センター=外資系企業の中核開発拠点)**があり、インド全体の33〜40%が集中しています。インド全土のGCCは2026年までに2,000拠点を超える見通しです。

ここが要点です。「インドのIT都市で、外資系企業が集まる環境に身を置いていた」という経験は、面接で説明できる具体性を持ちます。英語のスコアは誰でも取れますが、「今まさに成長している市場を現地で見てきた」という文脈は、同じスコアの候補者との差になります。

ただし、この価値は自動的には手に入りません。現地のコミュニティやイベントに繋がれるかどうかで結果が変わります。留学先を選ぶ際は、学校のカリキュラムだけでなく、現地でどういう人に会える設計になっているかを必ず確認してください。


3つの選択肢を比較する

項目デリー(北インド)セブ(フィリピン)ベンガルール(南インド)
EF EPIスコア407569(国全体)569
冬季PM2.5平均163µg/m³39µg/m³
外務省 危険情報レベル1レベル1
大使館の詐欺注意喚起名指しあり(駅前・パハールガンジ等)名指しなし
教室外で英語を使う機会少ない(ヒンディー語圏)多い多い
費用感(4週間)学校により幅が大きい約38万円(渡航費込み)学校・プランによる
就活・キャリアでの話材弱い弱い(一般化済み)強い(GCC 487拠点超)
向いている目的北インドの文化・歴史体験英語力そのものの向上英語+キャリアの材料

※フィリピンの費用は2026年時点のセブ島留学相場(航空券・保険・ビザ込み)。インド側は学校とプランによる幅が大きいため、個別見積もりでの比較を推奨します。


よくある質問

Q. デリーは危険だから行くべきではない、ということですか?

いいえ。外務省の危険情報ではデリーもベンガルールも同じレベル1で、「危険地域だから行くな」という話ではありません。この記事の主旨は、「英語を伸ばす」という目的に対して、デリーは費用対効果が合いにくいということです。歴史や文化を見る目的なら、デリーは非常に魅力的な都市です。

Q. 北インドに行くなら、どのくらいの期間が適切ですか?

「見てみたい」が動機なら、1週間程度の旅行で目的は十分に達成できます。語学留学として数か月を投じる必要はありません。旅行として行き、英語は別の場所で学ぶ、という切り分けが最も効率的です。

Q. 大気汚染は時期を選べば避けられますか?

デリーの場合、11月〜1月が最も厳しくなります。CREAのデータでは、2025年10月〜2026年2月の5か月間で「深刻」18日、「非常に悪い」87日を記録しました。どうしてもこの時期を外せない場合は、避けたほうが無難です。モンスーン後の3月〜9月は相対的に改善しますが、それでもWHO基準は大きく上回ります。

Q. フィリピンとバンガロール、どちらを先に行くべきですか?

英語力に不安があるなら、フィリピンで話す量を稼いでからバンガロールという順序は理にかなっています。バンガロールは日常生活が英語で回る都市なので、ある程度の基礎があったほうが得られるものが大きくなります。

Q. 費用はインドとフィリピンでどちらが安いですか?

プランによります。フィリピンは相場が固まっていて(4週間で約38万円が目安)比較しやすい一方、インドは学校とプランによって幅が大きく、一概には言えません。「総額」表示に何が含まれていないかを確認したうえで比較してください

Q. インド・デリーの部屋の写真はどこの写真ですか?

ILSC New Delhiの語学学校提供の住居です。もしそこへ行く場合は住居についてしっかり確認することをお勧めします。


出典

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